言語学習に年齢制限はありますか?


(この記事は、EnglishCentral 英語版ブログに寄稿している James Alvis Carpenter さんの記事を、日本語版ブログのライター Ryoichi さんが日本語に翻訳したものです。原文はこちら)

TooOld

私は、時々、完全なバイリンガルの人に出会うことがあります。

多くの場合、その人達は 2 つの異なる第一言語を話す親を持ち、バイリンガルの子供として育っています。私は、そのような人に出会うと少し嫉妬を感じます。私の両親がバイリンガルだったらよかったのにとか、私を特別なバイリンガルスクールに入学させてくれればよかったとか、または、私の地元に私でも入学できるバイリンガルスクールがあればよかったとか。ところが残念なことに、そのどれも叶いませんでした。

そんなことから、私はバイリンガルの人に会うと嫉妬を感じるだけでなく、私の言語学習の目標について少し不安を覚えるのです。それは、私の第二言語である日本語のスキルが、完全なバイリンガルのレベルに達することはありえないと思うからです。

これにはいくつか理由があります。その一つに、学習や練習の時間を見つけたり、自分の学習方法に自信を持って継続することが難しいということ。そして、私が年を取り過ぎているのでないかということです。第二言語を修得する適齢期を逃したので、あきらめて自分の限界を受け入れるべきではないか、と。

年齢と言語学習に関する問題は、言語学研究において重要な部分を占めます。基本的に、この議論は Critical Period Hypothesis (CPH、臨界期仮説) と呼ばれる仮説に焦点を当てています。CPH は、Eric Lenneberg が 1967 年に出版した「Biological Foundations of Language」という本で最初に紹介されました。CPH は、第二言語の習得を試みた人であれば一度は頭をよぎったことがある「一定の年齢を超えると、ネイティブスピーカーのように言語を修得することは不可能である」という仮説を説明しようと試みました。

子供たちは言語学習のクラスで正式な指導を受けなくても、自然に言葉を学習しているように見えます。この自然に言語を習得する期間のことを「臨界期」といいます。多くの研究が臨界期の正確な時期を特定しようと試みていますが、一般論としては、思春期以前と考えることができるでしょう。

ご存じの通り、思春期の時期に多くのことが変化します。これは少し複雑で難しい話でもあります。思春期は自我形成と反抗の時ですが、その時、私たちの脳は変化し、子供のように第二言語を学習する能力を失う時期でもあります。しかし、厳密には何が変化するのでしょうか?

まず、大人の言語学習者は、CPH が議論の余地がある仮説であるということを知っておく必要があります。「臨界期」という名称が、ある時期を超えると第二言語を修得することが不可能であるかのごとく聞こえるからです。思春期に達すると、突然何か劇的な変化が起こるような言い方です。その後、第二言語を習得する能力が永久に失われるように。ところが、このことが多くの場合で当てはまらないということは、直感的に分かります。

第二言語を効果的に学んだり、習熟したりする大人はたくさんいます。私は、高校生の時やそれ以降に新しい国に移り、新しい言語を学び、そして、第二言語を完璧に話すようになった人たちをたくさん知っています。そのため、一部の研究者は、臨界期は劇的な変化ではなく緩やかな変化である、ということを提案しています。思春期を超えると、私たちは周りで使われている言語に鈍感になりますが、第二言語を学習する能力を完全に失うということはありません。

しかし、もうひとつ重要な問題があります。「第二言語をうまく学習する」とは、どういうことでしょうか? 成功した言語学習者とはどのような人のことでしょうか?

一部の人は、「学習の速度」が言語学習が成功したかどうかを測定するよい方法であると提唱しています。子供は大人よりも速く言語を習得しますので、子供はより成功した言語学習者であるということです。しかしながら、大人の言語学習者と子供の言語学習者を比較した研究のほとんどで、子供が大人よりも決定的に有利な点は見つかりませんでした。研究を通じて発見されたことは、子供と大人では第二言語を学ぶ方法が異なるということでした。大人はメタ認知能力に依存する必要があり、子供にはない方法でルール、パターン、そして構造を理解しようとします。

そして、Peter Robinson と Nick Ellis が彼らの書籍「Handbook of Cognitive Linguistics and Second Language Acquisition」で指摘しているように、大人はバイリンガルの子供とは違い、基本的に第一言語の視点を通して第二言語を学習する必要があります。子供が自我と言語能力を同時に発達させていくのに対し、大人は既存の自我に第二言語を組み込む必要があるということです。この研究は、短期的な言語学習速度に関しては、大人と子供の間に大きな違いがないものの、長期的には、子供は大人よりもはるかに速く学ぶことを示しています。しかし、これは、必ずしも子供が大人よりも優れた言語学習者であることを示している訳ではありません。

その代わり、大人は第二言語を学ぶためにメタ認知能力を必要とすることに加えて、子供にはないような方法でモチベーションに依存することが必要であると提言しています。子どもたちは、第二言語を学ぶために自分自身をやる気にさせる必要はありません。先に述べたように、子供たちは自然に学習します。しかし、大人の言語学習者は、子供と同じ方法では学習を続けることができない場合があるという点に注意しなければならないのです。

(Written By James Alvis Carpenter)

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